有機フッ素化合物(PFAS)の有害性は2000年代はじめから指摘されてきました。
しかし、国や自治体は、国内各地にある汚染地域で、人々の体内にどれだけPFASが蓄積しているかをみる血液検査を行ってきませんでした(岡山県吉備中央町をのぞく)。
全国の血液検査結果
汚染地域での健康被害が懸念されるなか、大学の研究者などによる調査で、曝露の実態が見えてきました。一部の地域では全国平均を大きく上回る数値が確認されています。汚染源によって検出される種類に特色があり、泡消火剤に起因する地域ではPFOSやPFHxSが高く、工場や廃棄物処分場周辺などではPFOAが高くなる傾向が判明しています。
平均値、単位ng/ml
| 地域 | 年 | 人数 | PFOS | PFOA | PFHxS | PFNA | 4PFAS |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 基地・空港(PFOS・PFHxS) | |||||||
| 岐阜(各務原三井) | 2023 | 100 | 26 | 6.3 | 28.3 | 6.8 | 67.3 |
| 東京(国分寺) | 2023 | 85 | 16.5 | 6.5 | 17.5 | 4.1 | 44.6 |
| 東京(多摩地域・全体) | 2023 | 791 | 10.3 | 3.7 | 4.7 | 3.4 | 22.1 |
| 沖縄(北谷) | 2022 | 59 | 12.1 | 3.0 | 11.6 | 2.4 | 29.2 |
| 沖縄(全体) | 2022 | 387 | 8.4 | 2.9 | 8.3 | 2.0 | 21.6 |
| 愛知(豊山町) | 2023 | 37 | 12.6 | 3.2 | 5.6 | 2.5 | 23.9 |
| 工場・廃棄物処分場など(PFOA) | |||||||
| 岡山(吉備中央町) | 2023 | 27 | 9.9 | 171.2 | 1.0 | 4.3 | 186.4 |
| 岡山(吉備中央町・全体)2) | 2024 | 709 | 8.3 | 135.6 | 0.9 | 3.4 | 148.2 |
| 大阪(摂津農家)3) | 2021 | 9 | 18.3 | 75.1 | 2.1 | 5.7 | 101.2 |
| 大阪(摂津市) | 2023 | 185 | 6.8 | 9.8 | 1.2 | 3.4 | 21.2 |
| 大阪(全体)4) | 2023 | 1178 | 6.8 | 6.2 | 1.1 | 3.2 | 17.2 |
| 兵庫(明石市)5) | 2024 | 33 | 7.4 | 11.0 | 1.7 | 2.8 | 22.9 |
| 比較用データ | |||||||
| 全国(環境省)6) | 2021 | 119 | 3.9 | 2.2 | 1.0 | 1.6 | 8.7 |
1) 分析:京都府立大学・原田浩二教授(現職)、2)と5)を除く
2) 実施:岡山県吉備中央町
3) 汚染された地下水と土壌で作った野菜を摂取していた農家
4) 被験者は工場周辺に限らず、広範囲に及ぶため、かならずしも PFOAの方が高くなっていない
5) 提供:明石神戸PFAS汚染と健康を考える会
6) 環境省(2021年)は直鎖体のみを測定
吉備中央町 血液検査結果(709人)
岡山県吉備中央町では、水道水から国の暫定目標値を大幅に超えるPFASが検出されたことを受け、町は自治体公費による血液検査に踏み切りました。
発がん性が指摘されるPFOAなど7物質を合計した平均値は152ナノグラム(血漿1ミリリットル中)。アメリカの学術機関「全米アカデミー」が、健康リスクが高まるとする指標(20ナノグラム)の7.5倍にあたります。
検査を受けたのは、2歳から12歳までの65人と、13歳から102歳までの644人を合わせた計709人。全体の87パーセント(12歳以下は81パーセント、13歳以上で88パーセント)が20ナノグラムを超え、もっとも血液濃度が高かった人は743ナノグラムでした。

まとめ
全国の汚染地域で「健康への懸念がある」とされる血中濃度を超える人々が確認されたものの、環境省は「血中濃度がわかっても健康被害との因果関係はわからない」として、汚染地域での血液検査を推奨していません。